スタッフ日記
パールホテル茅場町のスタッフ日記です。
2020年は鬼の年?!
自粛期間も残すところ今日となりました。
他店舗のブログでは、自粛期間中の家時間の過ごし方について、
色々紹介をしていたようですが、皆様はどう過ごされたのでしょう。
私は「鬼」について、調べたり、考えたり、絵をかいたりしておりました。
鬼について思うようになったきっかけは5年ほど前、
井上靖の「鬼の話」を読んでから後、その余韻が消えず、
時間ができたら一度「鬼」と向きあわねば、とずっと考えていたところ、
思いがけず外出自粛の事態が降ってきた次第です。
(この「鬼の話」は、老境に足を踏み入れた文学者ならではの「鬼」の話です。)
それに、2020をカタカナで書くと、ニオニオ、、鬼です!
そう2020年は、実は鬼の年なのです。
さて、改めて「鬼」について。
ちょっと調べた限りにおいても、鬼の世界は広大無辺で、
それは殆ど日本の歴史と同じ長さの歴史がありました。
例えば、言語表現においては、まだまだ鬼は健在です。
慣用句、ことわざ、比喩表現、お酒の名前、お菓子の名前、子供の遊び、
今でも様々な場面で「鬼」という言葉が使われています。
また佐渡の鬼太鼓に代表されるように、何かの折には鬼の面を付ける風習が
残っている地域は日本各地にあり、お能、漫画やアニメ、映画においては
「鬼」たちが現役で活躍しています。
さらに歴史を紐解けば、多様性格を持った鬼が出てきます。
酒呑童子に代表される超人的な力を持った存在としての鬼、自然神としての鬼、
人や動物が怨んで成った鬼、こぶとり爺さんに出てくる人間の行いを裁き正す鬼、
魔を払う神としての鬼(鬼神)、災厄の象徴としての鬼(鬼は外福は内)。
長い間「鬼」は私たちの心の中、生活の中で多様かつ重要な役割を担っていました。
鬼の多面性多様性は私たちのそれでもあったのでしょう。
では、今日の東京の生活で、鬼はどこへいったのか。
ランチで鬼のトークはしないし、ニュースにも鬼の話題は無いようです。
長い日本の歴史において、あれほど多様多面な役割を担った鬼たち。
我々の生の投影であった鬼に代わって、今は何がその役割を果たしているのか。
冷蔵庫やスマホがその代わりになったのか?
など考えながら、この1カ月人の消えた(鬼も消えた?)通勤電車に揺られていました。
2020年の今日は、コロナウィルスという眼では見えないものに全世界が苦しんでいます。
この状況をもし「鬼」が見たならば何と言うかな、とふっと考えた刹那、
初めて後ろに鬼が立っているような気がしました。
緊急事態宣言は解除されますが、自粛中に始まった鬼との付き合いは続きそうです。
とりあえずは「コロナ退散!!」鬼にお願いしようかな。。
「鬼の話」
井上靖 道・ローマの宿 新潮文庫
井上靖 補陀落渡海記 講談社文庫
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